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日記・仕事・回想・コラム・レビュー・レポート・小説&詩篇集/金沢のもくれん院長の気儘ブログ 【HALE OLA HOKULANI E KOMO MAI】
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さようなら あの日のクリスマス

クリスマスを迎えるたび、ひとりの女性を思い出します。歳のころは50代半ば。華やかな雰囲気のひときわ目を引く美しい人でした。3年前のクリスマス、その女性はご家族に看取られながらその短い生涯を閉じました。

その方が2年のブランクを空けて私たちのサロンにお越しいただいたのがその年の6月。ずっと来たいと思っていたんだけど、病気しちゃって入院していたの、と気遣うようにおっしゃられ、その日から週2回ほどのペースで再度お越しいただくようになりました。腰には大きな絆創膏、その隙間から管が延びてビニールの袋と繋がっています。久しぶりにお会いした私たちにはその手術痕がとても痛々しく感じられました。それでもご本人は明るく前向きなご性格でここに来られてやっと念願が叶ったと大変お喜びになられ、そのご様子に私たちもどこか救われる思いでした。

 8月、再入院されると金大附属病院に呼ばれるようになりました。担当医の了承のもと、病室で施術させていただくことになったのでした。その後、程なく殆ど毎日呼ばれるようになりました。家内が空かないときは私が出向くようになりました。痛みを和らげるための背中を露出してのオイルケアでもあり、家内と女性同士でお話したりすることを楽しみにしておられることを知っていましたので、気が置けない家内の代わりに私が出向くことに対し申し訳なく思うと言うと、彼女は「最初は少し抵抗があったけど今はもう大丈夫」と笑ってお応えいただいたことを思い出します。その頃にはもうかなり身体が細くなっておられました。

11月に入り、毎日2回必ず呼ばれるようになりました。施術しているときだけ痛みを忘れられるとのことでした。朝に家内が出向くときは晩に私がお伺いし、サロンでの予約がある時は一人が朝晩続けて伺ったり、時間を調整したりと、金大付属病院に通い詰めの毎日でした。日に日に細る彼女の背中や足に手を当て「病魔よ、この手の平へと吸い上げられよ」と念じながら施術したものです。

彼女はどんなに身体が辛い時も私たちへの気遣いは忘れることはありませんでした。家内も明るさを忘れない彼女にいつしか惹かれ姉のように慕うようになりました。また、カリカリに細くなってしまった足の指にもキレイなネイルが常に施されており、ファッション雑誌を開いて眼を輝かせている彼女の可愛らしさに人としての愛おしさが込み上げてきました。

クリスマスを10日後に控え、私たちのサロンに彼女から鉢植えのプレゼントが届きました。クリスマス風にデコレートされています。いつもありがとうの言葉も添えられて。クリスマスに彼女がご家族とともに楽しんでいただければと、家内はパン作り先生である友人の協力を得て手作りのシュトーレンを持って伺うと彼女に約束したのもこの頃でした。

イブの前々日、家内が施術に伺うと、彼女は今までにないほど辛そうでした。目も虚ろで言葉も出ないほど生気がありません。その日の夜、彼女のご主人から電話があり、明日の施術のキャンセルしたいと申し出がありました。施術できるような状態ではないとのことでした。

イブの夜を迎えました。「シュトーレン」は出来上がっています。今日の施術がキャンセルになりましたが、家内は不安に駆られたのか、約束のシュトーレンを携え、意を決して病院に向かいました。

病室ではご主人やお譲様はじめご家族が集まってベッドを取り囲んでおられました。家内が顔を見せてくれたことにご主人からお礼の言葉をいただきました。そして枕元に促されます。お嬢様が、眼を瞑ったままの母の耳元で語りかけます。
「ママ。あさこさんがきてくれたよ~ 」
ずっと反応を示さなかった彼女でしたが、うっすらと目を開き、消え入りそうな声を発されました。
「ありがとう。。」 
そしてまた目を閉じ、静かに眠りにつかれました。
 
クリスマス当日。 ご家族からのお電話でお亡くなりになられたことを知らされました。最後まで人を気遣うことを忘れない天使の様な女性でした。イエス様のもとに召されたような気がします。彼女のことは忘れません。今宵、ふたりで彼女を忍びます。

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Comment

大変感動しました。
2016.03.02Wed 22:38 ≫ 編集
一日を大切に生きることを教えられました。有難うございます。
2016.03.03Thu 10:22 ≫ 編集

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