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日記・仕事・回想・コラム・レビュー・レポート・小説&詩篇集/金沢のもくれん院長の気儘ブログ
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花束を贈る

「こちらの薔薇はいかがでしょう。お客様のお気持ちをストレートにお伝えしたいなら、これくらいビビッドなお色のほうがよろしいかと・・・」
花屋の女性店員はにこやかな笑顔でスカーレットの薔薇を取り上げた。
「素敵な色ですね。それで結構です。と言うか、それにしてください。束にして、、数はそうだな、12本」
「お持ち帰りですね」
「あ、いえ。こちらの住所のこの方に届けて欲しいのですが。。 」
店員に彼女の住所の書かれたメモを渡す。
「お客様ご自身のお名前をこちらに。よろしければメッセージカードにも一言いかがでしょうか」
その店員は紙とペンを差し出した。
「私の名前はいいですから」
「名前はいいって、お客様。。」
店員は一瞬、怪訝な表情を浮かべ、戸惑いの眼差しを向けてきた。額に汗が滲む。花をプレゼントだなんて柄にもない。慣れない買い物はやるもんじゃない。

「そりゃそうよ。いらないわよね。贈り主の名前なんて!」
店の奥から声がして、みるからにおねぇ系の店長らしき男がしゃしゃり出てきた。
「私が贈りました、なんて大々的にアピールするのお?そんなの、女からみたら、このひと、なんか見返り期待してるんじゃな~い?って思うものなのよね~」
男はそのエプロン姿の若い店員を見下げるように一瞥し、馴れ馴れしく私の肩に手をかける。
「ごめんなさいね。この娘。まだな~んにも知らない、うぶな娘なのよ。。。許してちょうだいね」 
店長は深い皺を目尻に集めウインクをしてみせた。

確かにこの店長の言うとおりかも知れない。とは言うものの、贈り主の名前を書かない私の真意はそんなところには決してない。いい意味でそんな思慮深さがあったなら、反対に悪く言うなら、そんな下衆の勘繰りに捉われてるなら結論はどうであれ既に決着をみているはず。言い訳を見つけることは容易い。でも、本当は単に勇気を持てずにいるだけなのだと。本人の前ではカッコつけるだけで、自分をさらけ出し思いの丈全てを告白するなんて到底できる話ではない。ただそれもこれもどうでもいいことなのだ。花屋のマスターに心の内を吐露してもしょうがないし自分としても苦笑いでこの場を取り繕うしかないことも承知している。

「店長。 正直、彼女をどうにかしたいとかじゃないんだ。ただ、優しい気持ちでいつも過ごしてほしいと思っている。お世話になってるんだ。宜しく頼むよ」
会社の同僚である彼女に今更告白して社内における言わば戦友のような関係に罅が入ることが怖くもある。この店長にそんな自分を見透かされている気がして半分正直な気持ちを吐露することで話を終わらせようとした。

「任せなさい。超絶、ステキなラッピングにしてあげる」
エプロンが妙に似合うその店長は少し驚いた顔をしたかと思うと、一転、全てを悟ったかのように喜び勇んで応じてくれた。彼の大げさな所作が彼の早合点からきているのか、意外と的を得ているのか知る由もない。



まさかのショッキングでブルーな展開へと続く       ♪(v^_^)v  

送られた女性の目線でお話は続きます
 
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   贈られた花束