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日記・仕事・回想・コラム・レビュー・レポート・小説&詩篇集/金沢のもくれん院長の気儘ブログ 【HALE OLA HOKULANI E KOMO MAI】
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心の道 宇多須神社と宝泉寺

東山の宇多須神社にお参りさせていただきました。先ほどまでの賑わいが一転、嘘のように静かです。観光客もさすがにここまでは上ってこないのでしょうか。だったら少し寂しいですね。

さて、この宇多須神社、社殿もさほど大きくはないのですが、その泰然とした佇まいに格式の高さが窺えます。浅野川の川辺の丘から発見された古鏡に卯と辰の紋様が彫られていたことで、宇辰神として祀り、養老2年、多聞天社として創建されたのが始まりです。前田家とも縁があり、利家没後、2代目藩主利長が密かに亡父の御霊を祀り、「宇辰八幡宮」と称して藩社とします。密かに、というのは、前田は外様大名であるがため 藩祖利家の神霊を祀るには徳川の目を盗み合祀という形をとらざるを得なかったようです。その後、徳川の時代が幕を下ろし明治維新によって廃藩置県が施行されると神霊は尾山神社に遷座されます。このような経緯を経て、宇辰八幡宮は高皇産霊神を祀る社に改められ、名称も宇多須神社と改められ現在に至ります。



神殿の左横を抜けると「酒場の井戸」と名付けられた井戸があります。何の変哲のない井戸ですが、5代藩主綱紀の疱瘡を癒したとされ、以後、神水として崇められました。

参拝を終えて社の右側にまわると坂がありました。子来坂(こぎさか)あるいはこらいざかと呼ぶその坂は卯辰山へと繋がっています。途中、老舗の料理旅館「山乃尾」の入り口の看板を横目にさらに上へと向かいます。目指すは「宝泉寺」。ここ夘辰山麓寺院群にはいくつもの寺社仏閣が点在しており「心の道」と称されています。そのひとつが前田家の祈願寺であった宝泉寺。摩利支天を本尊とする真言宗のお寺です。






境内の名木。木の根元から5本の枝が枝分かれしてさながら5本の松が根を生やしているように見えることから「五本松」と呼ばれています。利家の時代より魔人の住処として怖れられ、また、ご神木として敬われてきました。泉鏡花は短編「五本松」をはじめして 畏怖の念を交えてこの松の木を題材にしたものを数点書き遺しています。

卯辰山は龍が伏しているような山並みから「臥龍山」と称されます。麓の馬場小学校の校歌にも「臥竜山」が出てきますが、金沢人しか知らない話かもしれません。東の戸室山から下りてきた龍がここに陣取り、城の鬼門となる北東に睨みを利かせ鬼が城に入るを防いでいるという。なるほど「五本松」はまさに龍神そのものですね。



崖から金沢を見下ろします。夘辰山麓から眺める金沢もなかなか乙なものでした。それほど高台に位置しているわけでないので、人の息づかいが聞こえてきます。金沢に暮らす人々の息吹のようなものが。城内から城下にいたる全ての人を悪なる災いから見守るには、なるほど、絶好の高さのように思えてきました。